コーヒー豆の量り売りをしているとタイトルの(もしくは類似した)質問を良く受けます。
簡単そうに見えて根が深い質問の一つです。
目次
カップ1杯あたり何cc?
良く『カップ1杯分に対して12gを目安に。』といった説明を見かけます。
たぶんですけど、この背景には
「ペーパードリップで概ね120cc~140cc程度をカップ1杯分とした時」
という条件が前提である場合かと思います。
であれば私も同意見です。
ですが、
もしフレンチプレスで淹れる方だったら?
もし濃いめのコーヒーが好きだったら?
ってかどの焙煎度の豆の話?
など条件が変われば豆の目安量も変わってしまいます。
もちろん私も店頭で聞かれたら「ご自宅ではペーパードリップで淹れてますか?」「濃いめがお好きですか?」など伺って、ある程度条件を絞ってからお答えしてます。
さすがに「愛用されているカップは何ccですか?マグカップですか?」などの細かいところまではクドいので聞きません。
ましてや”目安”として聞かれているだけなので、質問している方の意図としてもそこまでピンポイントなグラム数を求めてはいないはずです。
ですが、せっかくのブログなので今回はクドい(細かい)ところまで突っ込んでみたいと思います。
コーヒーカップの容量から考えてみる
要するに『最終的な抽出量がどのくらい必要なのか』ということです。
お店にあるカップを参考に見ていきましょう。
コーヒーサーバー
まずはコーヒーサーバーの1杯分の目盛りを見てみましょう。
約120ccです。
もちろん、メーカーによって1杯分の容量が違うこともあります。
ただ、まあBONMACさん的には120ccが1杯分の標準量としているので、1つの目安になりますね。
HOYAのカップ
続いてHOYAのカップ。
だいたい110ccみたいですね。
ちょっと小振りのサイズですが、概ね先程のサーバーと目安量は同じですね。
ウェッジウッドのカップ
続いてウエッジウッドのカップ。
何分目まで淹れるかで当然変わってきますが、見栄えの良い7分目くらいで約140ccでした。
先程のサーバーで1杯分を抽出してからこちらのカップに移すと、「あれ?少なくね?」と感じると思います。
ただ、ウエッジウッドはこれと同容量のカップを多く見かけるし、うちにある他ブランドのカップでも同容量のものが多いことから、140ccもまた1杯分の標準量として目安なのかもしれませんね。
ノリタケのカップ
最後にノリタケのカップ。
これなんか190ccくらい入ります。
ちなみにマグカップと呼ばれる種類のカップはこれよりもっと大きいです。
カップ1杯=○○ccの統一規格があるわけではない
突き詰めてしまうと、12gのコーヒー豆から120cc抽出するのか140cc抽出するのかでは味に大きな開きができます。
ましてやこれがマグカップサイズで1杯分と聞かれていたのであれば、個人的には12gを目安にしろとは言えなくなります。
と、考えていくと難しい質問だなぁと内心思っていたりします。
100gの豆でカップ何杯分とれるのかを考えてみる
『100gの豆を購入したら何杯分くらいとれますか?』
タイトルと似たような質問ですが、これはこれで少しまた解釈が変わってきます。
カップの容量が120cc程度と仮定して、先程の1杯12gを基準とすると、単純計算で
100[g] ÷ 12[g] = 8.333…[杯]
となります。
シンプルに答えると「100gで概ね8杯分が目安ですよ~。」となります。
ただ、これも質問者の方が実は「いつも家族の分も含め2杯分(もしくはそれ以上)をまとめてドリップする人」だったら答えが変わってきます。
コーヒーの面白いところが、2杯分一緒に抽出する時に必要な豆の量は2倍の24gではありません。
試しに淹れて頂くと実感できると思いますが、2杯分を24gで淹れたコーヒーは1杯分を12gで淹れたコーヒーより濃く感じると思います。
例えば私の場合、2杯分を抽出する時は1杯分の約1.6倍の量の豆を使用します。
1杯12gだとしたら2杯で19.2gで良いということです。
ということは毎回2杯分抽出する人の場合は
100[g] ÷ ( 19[g] ÷ 2[杯] ) = 10.526…[杯]
となるので、100gで概ね10杯分のコーヒーが抽出できる計算になります。
これがコーヒーマシンで一気に4杯分抽出する人であれば、もっと差に開きが出ます。
そう考えると、この質問もまた奥が深いと感じてしまいます。
まとめ
コーヒーの楽しみ方が多岐に渡る以上、条件次第ではその限りではないのですが、それでも漠然とした”目安”が時には必要かと思います。
そんな時はやはり「ペーパードリップであれば1杯12gが目安」という基準で考えてみてはいかがでしょうか。