オオヤミノルさんの『美味しいコーヒーって何だ?』を読み終えて

焙煎をしていると、美味しいコーヒーって何なんだろうなぁって思うことがあります。
先日立ち寄った本屋に、まんまそれがタイトルになった本を見つけたので買って読んでみました。
良い本だったので感想を交えながら少し紹介させてもらいますね。

コーヒーの捉え方は人それぞれ

コーヒーを題材にしているのですが、こちらの本では焙煎にフォーカスして書かれています。

また、焙煎といってもハウツー系の実用書ではなく、オオヤさんを含めた数名の焙煎士(家)同士の対談形式で進められた内容となっております。

ところで、オオヤさんは以下の様に冒頭で話しています。

コーヒーは乾物やし、乾物には乾物の道があって、要するにフレッシュということはない。

出典:美味しいコーヒーって何だ?

コーヒー豆というのは果実の中にある種子の部分で、収穫後に乾燥や洗浄といった工程を経て輸出されます。
オオヤさんの考え方は、乾燥させた時点で生鮮品(フレッシュ)ではなく加工品であって、それをさらに加工に加工をして飲料としてのコーヒーになるというもの。
おそらく焙煎も”加工”と捉えているのでしょう。

なので深煎りの焙煎はオオヤさんにとって、コーヒー豆の加工方法としての一つなので、浅煎りであろうが深煎りであろうが焙煎度に応じた美味しさはあるとしています。

対して、スペシャルティコーヒーの発展に寄与した井ノ上さんは、深煎り焙煎とは完熟していない生豆を商品化する為の苦肉の策であり、コーヒー豆本来の味わいを引き出すものではないと、完熟したコーヒー豆であれば浅煎りでこそ個性が生きると話します。
オオヤさんは浅煎りで美味しいと感じるコーヒーもある一方で、深煎りのコーヒーも表現方法の一つとして認めても良いのではないかと反論しますが、最後まで両者の意見に折り合いがつくことはありません。

決してスペシャルティコーヒーにおける”浅煎り”と従来の手法である”深煎り”は対立関係ではないものだと語っていますが、読み手からするとその構図が一番しっくりしてしまう内容かと思います。

個人的には、手回しロースターの伝説・大坊勝次さんとの対談を一番楽しみにしていたのですが、読み終えてみると井ノ上さんとの対談が本書の醍醐味であったと感じました。
もちろん、大坊さんとの対談もめっちゃ面白かったですよ。

ちなみに私は自分のお店でどちらかというと深煎り寄りなのもあって、オオヤさんに共感できる部分は多々ありました。

美味しいコーヒーについて

内容が非常に濃い反面、タイトルにある「美味しいコーヒーって何だ?」に対しての明確な答えは出てきません。
終始、「何だ?」という疑問が渦巻いているだけというか。
極端な話、誰かの美味しいは誰かの不味いかもしれないですし、誰かの不味いは誰かの美味しいかもしれないので、「美味しいコーヒーはコレ!」ってドンピシャなものはないんですよね。
浅煎りの美味さ、深煎りの美味しさ、産地ごとの美味しさ、色々な「美味しさ」があって当然だと思います。

そう考えると悩む必要なんてないかもしれないですし、「自分が美味しいと思ったものが美味しいもの」で良いんでしょうけど、それじゃあきっと新たな発見や進歩はできないんじゃないのかなぁと思ったりもします。
オオヤさん自身もそういう想いもあって、色々な方との対談をしているんじゃないでしょうか。

「美味しい」って言葉自体に曖昧さがある以上、「美味しいコーヒー」を定義することは難しいですよね。

読み終えて何か変わったのか?

まず思ったことが、専門知識がまだまだ不足していると改めて感じました。
とりわけ、買い付けの話や農園の話、焙煎機のテクニカルな部分の話なんかはハイレベル過ぎて付いていけませんでした。
もっとどん欲に、もっとアンテナを広く、もっと自発的に知識を得ようと思いました。

あとは、他所のコーヒーをもっと飲んでいこうと。
この本を読んだ一番の収穫は、”拘り”と”思い込み”は違うんだと気付けた事です。
両者の違いは、外部からの刺激や情報を取り入れて精査するかしないかの差だと感じました。
今回は本という媒体でしたが、他所のコーヒーを飲んだり、実際にお店に足を運んで、インプットの量を増やしていくことも今回と同じ効果を得られるんじゃないかと思っています。

まぁ何にしても奥が深い世界だなー

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